香港ヤバい・・そろそろ真剣に中国民主化を考えるべき

この記事の要約は以下の3点です。


1●香港問題はいつのまにか「第二の天安門」すらありえるシャレにならない状況になりつつあり、中国ビジネスや中国学問界のカネまわりの良さに目くらましされて普段は見てみぬフリをしてる人にとっても切実な問題になりつつある。

2●もう色んな人が諦め気味になっている「中国の民主化」について、今こそ真剣に考えるべき最大の(ひょっとしたら最後の)チャンス。

3●「ハード」路線と「ソフト」路線を組み合わせた「項羽と劉邦」作戦で、「立場を超えた連携」を形成し「不可能を可能に」しよう!

以下本文。







●選挙での民主派圧勝で事態はさらに抜き差しならない状況へ


正直言って夏頃には「そのうち夏休みが終わったら学生も授業に戻って街は静かになるだろう。悲しいけど仕方ないね」と思っていた人も多かったと思われる香港デモは果てしなくヒートアップし、一週間ぐらいまではツイッターを「香港」で検索すると戦場のような光景が広がっていました。



既に死傷者もかなり出ており、欧米メディアは一斉にかなり厳しい批判をしていますし、今までなんとなく見過ごされていたウィグルなどの少数民族への、ちょっと聞いてるとさすがに気分が悪くなるような弾圧についての報道も国際的に再度かなりヒートアップしています。

まだトランプ大統領が署名してませんが、米国議会は”香港人権法案”を可決し徹底的に追求するかまえ、このまま行けば戦争か?というような事態になってきている。

デモ隊の中の一番過激なグループが香港理工大学に立てこもって警察に一網打尽に捕まったらしく、これで事態は沈静化するかと思われた瞬間もあったのですが、むしろ暴徒化していたデモ隊の一部が捕まって、今回のような「選挙」という民主主義的に文句のつけようがない形での「圧勝」が示されたことは、むしろデモ側にとって有利だったのではないか・・・というような分析もされているようです。

香港民主派のスターで、なぜか日本語もめちゃ達者な周庭さんのツイッターから、


黄色が民主派勝利議席らしいです・・・・文句ナシの圧勝ですね。

あと、さっきツイッター検索してついつい涙してしまいそうになった2ページ漫画があるんで、シェアさせてください。





これは胸が痛いです・・・

暴力がヒートアップしてしまい、ここまで「血肉に染みる気持ち」が両者の主張にこもっているので、今後はさらに難しい状況になっていくことが予想されます。

基本的に、誰も世界戦争はしたくないし、世界経済がひっくり返るほどの混乱も望んでいない人が多い。まるで宣戦布告のような内容のペンス米副大統領の演説の最後に唐突に米中交渉への期待論が挟み込まれているところを見ると、対中で強硬なことを言っているアメリカの政治家ですら、本当にこの問題が抜き差しならないところまで紛糾して世界経済が大きなダメージを受けることを内心怖がっているのではないか・・・とすら思えます。

しかし、このまま事態がどちらも引けないまま過熱していけば、どこかで「もっと巨大な暴力」が振るわれかねず、「二度目の天安門事件」ともなれば世界経済がどうこうとか言うレベルではありません。内陸のウィグルでヒドいことが行われていても隠し通せますが、ツイッター検索しただけでこれだけ生々しい映像が延々出てくる時代の「悲劇」は世界中を駆け巡ります。

今は中国の金回りの良さを理由に沈黙している「オトナ」の人たちも甚大な影響を受けるでしょう。

要するに、「誰にとってももう見て見ぬ振りはできないレベル」だということです。





●中国民主化という「不可能を可能にする」努力を



昔は「経済発展すれば中国は民主化するだろう」と欧米人は特に根拠なく思っていましたが結果はご存知の通りで、今や「中国民主化」なんて言い出したらまるでアタマの中がお花畑の夢想家扱いされかねない状況になっています。

しかし、実際問題「今真剣にコレ考えておかないとヤバいよ?」という状況ではないでしょうか。中国経済がどこまで順調に伸びていくかはわかりませんしかなり鈍化もしてきているようですが、中国とアメリカの人口差は4倍以上なので、一人あたりでたった4分の1のGDPを中国が実現すれば、中国が世界一のスーパーパワーになるわけです。

「アメリカは正義の味方だ」とか「中国人は野蛮だから信用できない」とかそういうことを言うつもりは全然ありませんが、「今の中国政府のコントロールできない強権性」を保ったままアメリカを超える世界一のスーパーパワーになられるというのは、誰も制御できない権力が暴走するという意味で、世界人類の(そしてたぶん中国人にとっても)かなり危機的な状況です。

つまり、「中国民主化なんて脳内お花畑の夢想家の言い草だよ、現実を見ろよ」とか言ってないで、むしろ真剣に考えなくちゃいけない時期なはずだということです。

むしろ、香港人の捨て身のチャレンジによって、今こそが最大の、ひょっとすると最後のチャンスになっているかもしれず、そこでいろんな立場の人が普段の立場を超えて連携をするための「作戦」について提案したいと思っています。






●名付けて「項羽と劉邦作戦」



以下の図のように、この作戦のキモは、「普段見て見ぬ振りをしている人たち」には”別の論理で”圧力をかけていってもらうということです。







左側の「ハード」路線だけでなく、「ソフト路線」の圧力も織り交ぜられるようになることで、片側から押している時には見えなかった可能性が一気に見えてくるでしょう。

特に、これだけ米中対立が激しくなり。中国政府への不信感が世界中にひしめいていると、せっかくの現代中国の美点である湯水のようにお金を注ぎ込んだ学問的成果や先端的IT企業の世界展開が非常にやりにくくなっています。ティックトックみたいな何の毒もなさそうなアプリですら物凄い警戒されてバッシングを受けたりしているので。

最近読んだ日本人中国ウォッチャーの安田峰俊さんの「もっとさいはての中国」によれば、インテリの中国人中堅官僚には(表立っては決して言えないものの)民主化シンパは結構いるらしく、また先端的ビジネスをもっと問題なく世界中で展開したい中国人も、検閲されない自由な学問を求める学者層も、「中国社会が大混乱にならない、ある程度の民主化を飲める着地点があるなら」乗ってもいいと潜在的に考えている層はかなりいるはずです。

「ハード」路線が妥協せずに押し続けることと同時に、「ソフト」路線への働きかけも併用し、「落とし所」を提案していくこと・・・それができれば「不可能は可能になって」いくでしょう。

もちろん香港人自体は、「ハード」路線で、自分たちは要求を取り下げないぞ!と言っている必要があります。その非妥協的な態度によって、中国によって「民主化しないことのコスト」が跳ね上がっていくことで、右側の「ソフト路線」の人が重い腰をあげる情勢に繋がっていくわけですからね。

しかし香港人でも対中国本土へのアピールにおいては、この「ソフト路線側の相手のニーズ」を意識することができれば可能性が開けます。

特に日本語できる香港人に届けばいいなと思って言うんですが、あなたがたのメッセージはちょっと逆の意味でプロパガンダ臭がすることがあって、それが「普通の人」を遠ざけてしまっている部分はあるように思います。「ソフト路線側」にいる違う立場の人へのメッセージ(特に、中国のある程度の民主化で国際社会の批判をかわすことは、中国の先進的企業の国際展開などを考えた時にむしろ中国にとってプラスなのだという論調)を織り交ぜていくことの意味は大きいはずです。

また、日本人の右派のような人もそういうチャレンジが可能な人が多いでしょうし、また右派日本人から左派日本人への「お前らが喧嘩売るのはアベだけかよ?」プレッシャーにも意味があるでしょう。

日本人中国ウォッチャーの福島香織さんが翻訳された、何清漣氏の中国の大プロパガンダという本を見ていると、いかに「言論の自由度のレベルが違う国同士が争っている時に、比較的自由な国も強権的な対応を取らざるを得なくなるか」がわかります。この点を深く考えると、「中国によるプロパガンダを放置しているとアベの強権性を本能的に維持せざるを得なくなる」構造があるため、左派日本人にとってもこの戦線を共有することには意味があるはずです。

どの論点も一回のブログでは書ききれないので、今後3回ぐらいに分けて順にアップしていきます。更新情報は私のツイッターをフォローいただければと思います。

「項羽と劉邦」作戦の見取り図を見ていただいて、「自分がいる位置」からだけでなく、「他の立場の人」にもそれぞれの利害を意識しながら呼びかけて、ぜひ「立場を超えた対中国政府包囲網」を実現しましょう。図はネットで再利用いただいて良いので、もしあなたが「ハード」側にいる人であるなら、「ソフト側」にいる人の利害に働きかけるような呼びかけを、織り交ぜるようにしていってください。

苛烈な項羽=中国政府を、寛容な劉邦=国際社会がやっつける!民主香港加油!!





もしこの記事に感じ入るものがあれば、社会の中での「立場を超えた連携」をどう作っていくべきかについて書いた私の新刊、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」も読んでいただければと思います。

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みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?

また、同じ視点から、紛糾続ける日韓関係や香港問題などの「東アジア」の平和について全く新しい解決策を見出す記事については、以下のリンク↓からどうぞ。

この視点にみんなが立つまでは決して解決しないで紛糾し続ける・・・東アジア問題に関する「メタ正義」的解決について

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倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
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